大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和50(し)1 決定

主 文

本件抗告を棄却する。

理 由

本件抗告趣意のうち、原判決の謄本、証拠書類等を添付しないでした再審請求に

対し、法令上の方式違反を理由にこれを棄却することは、経済的余裕のない受刑者

に再審の道を塞ぐものであるから、憲法三二条に違反するという点は、再審請求の

方式をどのように定めるかは、再審制度の目的、性格に即して定められるべき立法

政策の問題であつて、その方式について刑訴規則二八三条が、再審の請求をするに

は、その趣意書に原判決の謄本、証拠書類及び証拠物を添えてこれを管轄裁判所に

差し出すべきことを規定しても、右規定が憲法三二条に違反するものでないことは、

当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第二八一号同二五年二月一日大法廷判決・刑集

四巻二号八八頁、同二三年(れ)第五一二号同二四年三月二三日大法廷判決・刑集

三巻三号三五二頁)の趣旨に徴して明らかであるから、論旨は理由がない。また、

その余の憲法違反をいう点は、すべて、原審において主張、判断を経ていないもの

であつて、刑訴法四三三条の抗告理由にあたらない。

なお、記録によると、本件抗告期間の最終日は、昭和四九年一二月二八日である

ところ、申立人は、本件抗告の申立書を同年一二月二六日在監中の府中刑務所長に

差し出し、同所長は、同月二七日郵送に付したが、原裁判所は、期間後である同月

二九日本件抗告の申立書を受け付けたことが認められる。しかし、刑訴法四四四条

が再審の請求及びその取下について、同法三六六条を準用しているのは、再審が確

定判決に対し、当該判決手続で刑事上の処分を受けた本人の救済をその直接の目的

とする非常救済手続であることによるものと解され、そうすると、再審の請求のみ

ならず再審請求事件の特別抗告の申立にも同条の規定が準用されるものと解するの

が相当である。よつて、本件抗告は、同法四三三条二項に定める提起期間内になさ

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れたものとみなされる。

よつて、同法四三四条、四二六条一項により、裁判官団藤重光の補足意見がある

ほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

裁判官団藤重光の補足意見は、次のとおりである。

原判決の判決書が大部であるために謄本交付の請求に要する費用(刑訴法四六条、

刑訴法施行法一〇条)が再審の請求をしようとする本人の負担にたえないような場

合については、現行法の運用上も、別途、救済の方法を考える余地があるのであつ

て、単にかような場合がおこりうるというだけの理由で、刑訴規則二八三条が再審

請求の方式として原判決の謄本の添付を要求していることをもつて違憲とすること

はできない。

昭和五〇年三月二〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 田 武 三

裁判官 藤 林 益 三

裁判官 岸 盛 一

裁判官 岸 上 康 夫

裁判官 団 藤 重 光

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